卸売業や商社が業務を見直す際のチェックポイント ~在庫管理その1~

お客様からの受注に対して、品切れを起こさず迅速に対応しながら、かつ過剰な在庫を持たないように在庫をきっちりと管理していくことは、卸売業や商社の根幹をなす重要な業務です。

しかし、意外と十分な管理ができていない会社が多いように思います。

今回は、在庫を抱えている卸売業や商社が行うべき在庫管理業務について、書いてみたいと思います。

ポイント1 在庫を区分する

在庫は、将来の資金になる重要な資産ですが、当然のことながら、販売されるまではおカネは生み出しません。

それどころか、運転資金を借り入れていれば金利がかかるし、倉庫を借りていれば賃借料がかかったりします。

最悪、販売ができなくなれば、将来の資金にならないばかりか、処分費用がかかったりします。

なので、在庫は、資金が流出してしまうリスクを抱えた資産となりますので、きっちりした管理をしないと、将来のキャッシュフローに悪影響を与えるとともに、大きな損失が発生する可能性を高めてしまうことになります。

ゆえに、在庫の管理は重要です。

特に、大きな在庫を抱えている卸売業や商社にとって、マネジメントすべき大きなポイントとなります。

ただ、在庫を管理すべきなのはわかるけど、具体的にどうしたらいいの?というお声がありますので、まずは、大枠から説明したいと思います。

まず、卸売業や商社では、取扱いアイテム数が数万点におよぶ会社もあるので、すべてをきっちり管理することが実務的に不可能である会社も多いと思います。

そこで、まず重要となるのは、在庫の区分を設けることです。

業種や会社ごとに在庫の重要性はいろいろな視点があると思いますが、在庫管理をしていくために、外せないのが販売との関連性です。

売れ筋の商品とそうでない商品に分けていくイメージです。

例えば、在庫をA、B、Cの3区分に分けるとした場合、次のような定義づけをしていきます。

Aランク:売上構成比率が上位7割を占め、回転率が高いアイテム

Bランク:売上構成比率が上位7割には入っていないが、単価が高いアイテム

Cランク:A、Bランク以外のアイテム

ここで、Aランクは、「売上構成比率が上位7割」のアイテムとしていますが、これは売上と在庫の関係がいわゆる「80:20の法則」に従うためです。

売上金額ベースで7~8割を占めているアイテムの数は、全体のアイテム数の2~3割くらいになることが多いため、まずはこの売上上位のアイテムをきっちり管理することが重要となります。

ちなみに、当然ですが、「7割」は会社によって変わってくるものであり、会社によって6割かもしれないですし、8割かもしれません。

そして、このA、B、Cランクごとに在庫の管理方法を設定していきます。

ポイント2 在庫データを管理する

中堅企業、大企業では、在庫管理システムによって、すべての在庫を継続的にデータ管理していますが、中小企業、零細企業においては、在庫データを完備している会社は多くないと思います。

しかし、きっちりと在庫管理をしていくために、在庫データは欠かせないモノであることも事実です。

基本的にはすべての在庫について、データ管理するのがベストですが、実務的になかなか難しいのが現状ではないでしょうか?

もし、人の手が足りないなどの理由で在庫データが取れていないのであれば、ポイント①でAランクに区分された在庫だけに絞って、在庫データを管理することをお勧めします。

管理するアイテム数が少ない場合などはエクセルでも管理できますが、できれば、在庫管理ソフトを用いてデータ管理をすることが望ましいです。

在庫をデータ管理することによって、在庫の動きがある程度タイムリーに把握できるようになりますので、受注が入ってから、在庫の有無をその都度倉庫まで走って確認しに行かなくても、パソコン上で在庫の有無が把握できるようになります。

また、実地棚卸を行った際に、データと実地カウント数との差額が把握できるようになり、受払のミスなどが把握しやすくなります。

ポイント3 現物の管理レベルの見直し

たくさんの在庫を抱えている卸売業や商社において、在庫の管理は非常に重要なポイントですが、特に中小企業においては人手が少ないなどの制約があり、厳密な管理が難しいケースが多いものと思われます。

そこで、(本当であれば在庫データをとるべきなのですが、)もしBランクの在庫について、在庫データでの管理が難しいなどの事情があれば、在庫の現物管理レベルを引き上げるというのも一つの方法となります。

例えば、以下の方法が考えられます。

実地棚卸の頻度を上げる

これまで年に1回の実地棚卸を行うだけであれば、これを3ヶ月に1回に増やす等によって、現物在庫の確認頻度を高めます。

この際に、不良在庫や販売可能性がなくなってしまっている在庫についても、チェックを行い、処分などを進めておくことで、実際の販売可能在庫を把握することがポイントとなります。

出荷時の現物管理

出荷の都度、その商品の残数量をカウントし、箱などにメモ書きしておくことで、こまめな現物確認をしておきます。

また、商品ごとに最低在庫量を決めておき、メモ書きしておきます。

出荷後に、この最低在庫量を下回れば、発注できるようなフローにしておくと、予期せぬ在庫切れを防ぐこともできます。

現物のロケーション管理

まずは、在庫現物の置き場を明確に決めておきます。

具体的には、倉庫内をいくつかのエリアに分けて、商品群ごとに割り当てるとともに、個別商品ごとにエリア内の番地を決めておきます。

そして、エリア、番地ごとのロケーション表(在庫の住所録みたいなリスト)を作っておき、どこに何の在庫があるか一目で分かるようにしておきます。

段ボール箱などに入っている商品については、段ボールを加工することで、通路から見て在庫量がわかるようにしておくようにしておけば便利です。

また、段ボール箱の内側に最低在庫量の目安としてラインを引いておけば、発注点がわかりやすくなります。