飲食店オーナー必見!飲食店のための国民健康保険の選び方

新たに個人で飲食店を開業すれば、健康保険の選択が必要になります。

でも、どの健康保険がいいのか、よくわからないという方が多いのではないでしょうか。

今回は、個人事業で飲食店を開業された方に向けて、健康保険の選択について解説したいと思います。

国民健康保険には2種類あります

まず、国民健康保険について簡単に解説します。

国民健康保険は、大きく分けると次の2つです。

  • 市区町村が運営する「国民健康保険」(以下、「市区町村国保」という)
  • 特定の業種が運営者となる「国民健康保険組合」(以下、「国保組合」という)

一般的に耳にする「国民健康保険」は市区町村国保に該当します。

国保組合は、飲食店、医者など特定の業種に限定されます。

市町村国保と国保組合の比較

市町村国保と国保組合は、同じ国民健康保険ですが、どちらに加入するかで保険料や給付の内容などいろいろと違いがあります。

 市町村国保国保組合
所得に対する保険料所得に比例基本的に定額 
1世帯あたりの加入者に対する保険料家族が増えれば比例して保険料が増加家族の保険料の増加分が少ない
関連団体への加入  不要必要な場合あり 
一時金 

 主に出産育児一時金と葬祭料

出産育児一時金と葬祭料に加えて各種手当あり
各種特典  なしあり 

所得に対する保険料

まず、市町村国保と国保組合の違いは、保険料です。

市町村国保は、所得に応じて変動するような計算方法ですので、所得が増えれば増えるほど、保険料は上がっていきます。一方で、国保組合は、一般的に所得に対して定額の保険料であることが多いです。 したがって、所得が低ければ市町村国保の方が有利になることが多いですが、所得が増えれば国保組合が有利になるケースが多くなります。

1世帯あたりの加入者数に対する保険料

市町村国保の保険料は、1世帯当たりの加入者数が増えれば増えるほど、比例して保険料が上がっていきます。

一方で、国保組合の場合は、家族の保険料は、事業主の保険料と比べると1/3〜半分程度と低くなっているケースがよくあります。

したがって、1世帯当たりの加入者数が多いと、国保組合が有利になるケースがあります。

一時金

市町村国保の場合、一時金として給付を受けられるのは、一般的に出産育児一時金と葬祭費くらいになります。

一方で、国保組合の場合は、出産育児一時金と葬祭費に加えて、高額療養費や定期検診の補助など手厚くなっているケースが多いです。

各種特典

国保組合の場合は、組合によって日本政策金融公庫の低金利・長期返済の融資が受けられる斡旋制度があったり、経営相談が受けられたり、様々な特典が用意されているケースがあります。

関連団体への加入

国保組合の場合は、国保組合と合わせて関連団体に加入することが条件となるケースがあります。そのため、保険料に加えて、組合費など、関連団体への会費がかかることがあります。

東京・大阪・京都の事例

それでは、東京、大阪、京都の国保組合の事例を見てみましょう。

こちらの情報は平成29年3月時点において各組合のホームページ等から得られる情報をまとめたものですので、正確な情報は、各国保組合や関連団体にお問い合わせください。

東京食品販売国民健康保険組合のケース

保険の加入要件

食品業に従事し、店舗が東京都内にある個人事業主と従業員およびその家族が指定の住所にある方(住所は東京都(島しょを除く)、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、静岡県)

保険料

 事業主の場合 従業員の場合 
 世帯人数1名月額20,900円月額12,300円
 世帯人数2名月額29,300円月額20,700円

いずれも所得等に比例せず、定額の保険料となっています。

なお、家族構成前提が世帯主1名、被保険者1名の場合、年間所得400万円、39才以下とすれば、渋谷区の国民健康保険料の試算値は月額37,096円となります。

したがって、この条件であれば、保険料は東京食品販売国民健康保険組合が有利となります。

一時金

以下の一時金の給付を受けることができます。

  • 出産育児一時金
  • 高額療養費
  • 葬祭費
  • 入院見舞金
  • 人間ドッグ
  • 定期健診の補助など

大阪府飲食業生活衛生同業組合のケース

保険の加入要件

大阪府飲食業生活衛生同業組合に加盟すること

事業の場所

大阪府内にお店がある飲食店事業者で、保健所の飲食店営業許可対象を有していること

事業の具体例

レストラン、バー、うなぎ、弁当など

保険料

1人当たりの月額保険料は以下の通りです。

  保険料
事業主月額23,000円
従業員月額9,000円
家族月額8,500円

いずれも所得等に比例せず、定額の保険料となっています。

なお、国民保険料との比較ですが、家族構成が世帯主1名、被保険者1名の場合、年間所得400万円、39才以下であれば、大阪市の国民健康保険料の概算額は月額45,852円となります。大阪府飲食業生活衛生同業組合の場合は、事業主月額23,000円+家族9,000円=月額32,000円となりますので、保険料だけでみると大阪府飲食業生活衛生同業組合が有利となります。 ※加入団体への会費等が別途かかりますので、関連する組合にご確認ください。

一時金

以下の一時金の給付を受けることができます。

  • 出産育児一時金
  • 高額療養費
  • 出産手当金(従業員のみ)

各種特典

大阪府飲食業生活衛生同業組合に加入すると以下の特典を受けることができます。

  • 日本政策金融公庫より低金利・長期返済の融資が受けられる(審査有)
  • ぐるなびレストランサイトに無料で登録できる
  • 組合顧問による経営・税務などの無料相談窓口を利用できる など

京都料理飲食業国民健康保険組合のケース

保険の加入要件

京都料理飲食業国民健康保険組合の加入団体に加盟すること

事業の場所

以下の条件を満たす必要があります。

  • 京都府内で料理飲食業を営むこと
  • 事業主および従業員の住民票が指定の住所にある方(京都府、滋賀県の一部、大阪府の一部、兵庫県尼崎市)

保険料

 事業主・家族を有する従業員の場合単身従業員の場合
世帯人数1名月額28,785円(所得に比例)月額10,100円 (定額)
世帯人数2名月額31,885円(所得に比例)ー 

京都料理飲食業国民健康保険組合の場合は、事業主・家族を有する従業員については所得に比例して変動する点をご留意ください。

ちなみに、国民保険料との比較ですが、家族構成前提が世帯主1名、被保険者1名で年間所得400万円、39才以下 の場合、京都市の国民健康保険料の概算額は世帯主が月額42,453円ですが、京都料理飲食業国民健康保険組合の場合は、事業主・家族を有する従業員で月額31,885円をお得になるようです。

なお、京都料理飲食業国民健康保険組合を利用するためには関連団体への加入が必要となり、月額会費が別途1500円~6000円程度かかるようです。

一時金

以下の一時金の給付を受けることができます。

  • 出産育児一時金
  • 高額療養費
  • 傷病手当金
  • 入院時の食事代
  • 健康診断の助成など