加工業で売上を増せない8つの理由

私たちのクライアント様で、いわゆる加工業を営んでいる会社が数多く存在します。

加工業のクライアント様と事業計画を一緒に作ったり、経営について考えている中で、加工業の売上が伸び悩んでいる共通の課題があることが見えてきました。

そこで、私たちのこれまでの経験から、加工業者が法人相手に受注を増やすことができない理由を書いてみます。

加工業の特徴

今回の記事でいう加工業とは、金属部品やプラスチック部品の切断加工、板金・製缶加工、組立加工などを行っている業種を指します。

加工業者は、メーカー等に対して部品や中間製品を販売しているケースが多く、基本的にはお客さんが法人であるBtoBのビジネスとなっています。

特に、近年、「大口顧客であった大手メーカーからの受注が減少した」などの問題を抱えている会社は多く、受注の確保が大きな経営課題となっています。

一方で、なかなか法人からの受注を増やしていくといういわいる法人営業をどうしていったらいいかわからないというお悩みもよく耳にします。

そんな中で、加工業者が法人相手に受注を伸ばせずにいる会社の特徴を8つあげてみます。

自社の特徴の説明が苦手

社長であれば、自社の特徴を説明することはこれまで何十回、何百回もしているものであり、これが苦手というのは「どういうこと?」と思われるかもしれません。

確かに、新規開拓営業の際、新しい取引先との打ち合わせの際、金融機関の担当者が変わった際、様々な場面で自社の説明をされていると思いますが、うまく自社の説明ができていないと思われる会社が非常に多いです。

良くあるパターンが次の2つです。

  1. 「ウチは、○○市で板金加工業をやってます。」という3秒で終わる自己紹介
  2. 「ウチは、昭和○○年から○○市で板金加工業をやってまして、大手の○社とは昭和○年から長い付き合いをしてて、そのころは・・・」という3分を超える自己紹介

ここで、1では「○○市の鈑金加工業者」としか伝わらず、どんな特徴があるのか?他社と何が違うのか全然わかりません。一方、2では話が細かすぎて、聞き手は最後まで聞くことができません。

これでは、御社がせっかくいい技術があり、しっかりした仕事をされていても、入り口の段階で興味を持ってもらえません。

自社の特徴や強み弱み、何を売りたいのかを簡単にシンプルに説明できるようにしておかないと、相手に自社の魅力が伝わりません

いつも決め手が価格になっている

お客さんとの引き合いがあっても、図面と一緒に持ってこられるのが、「いくらでできます?」という言葉。他社がこれくらいでやってるから、今回はこれくらいで、というかなりきつい価格での商談が進んでいくことが常となっているとの声が多くの加工業者さんから聞こえてきます。

ぎりぎりの価格で仕事を請けていても、価格要求は強くなるばかりで、最後は規模が大きかったり、最新の設備を導入している加工業者に受注を奪われ、売上自体が大きく減少して大きなダメージを受けている会社が少なくありません。

中小規模の加工業者、特に規模が小さい会社にとって、価格で勝負することは問題を先送りするだけで、将来的にいつ爆発するかわからない爆弾を抱えてしまうことになります。

10年前とやり方が変わっていない

「以前は○○社からは2日に1回注文が入ってきてたけど、今は月に数回にまで減ってしまいました。」、「○○部長にメシを食わせておけば、いくらでも注文もらえたけど、部長が変わってからは全然だめ。」というような話を聞きます。

ここ10年程の間に日本国内の経済環境は大きく変わり、半導体や液晶パネルなどもそうですが、数年前には生産が追い付かなかったものでも、今は生産量が大幅に減少してしまったものが多くあります。

また多くの場合、元請になっている大企業の内部もコンプライアンス体制を強化しないといけない経営環境になり、昔ながらの取引関係が難しくなっています。

一方で、10年前にはなかったもので、今の世の中を動かしているものも多くあります。特に影響を大きく与えているものがインターネットです。

私の経験上、環境の変化に合わせて自社を変えていくことができた会社は、この状況下でもしっかり利益を残しています

受注が減っているのは景気のせいだと思っている

売上が下がったのは景気のせいだと仰る社長がいます。しかも、結構います。

これは、本当でしょうか?

景気のせいであれば、どの会社も売上を同じように落としているはずですが、私の知っているだけでも、同じ業種で売上を順調に増やし、利益を残している会社がいくつもあります。

受注の伸び悩みや減少を景気のせいにしてしまうと、大きな問題が生じてしまいます。

それは、売上が伸びない原因が自社の中から探そうとしなくなることです。

原因は、必ず御社の中にあります。それを見つけ出してください。

「ウチの事業は特殊だから」と思っている

こう仰る社長も結構います。

  • 医療用器具の部品を加工しているから、うちは特殊
  • 研究用機器の部品を製造しているから、うちは特殊
  • 特殊車両の部品を加工しているから、うちは特殊

だから、得意先からの受注が減少したら、他の顧客を探すことが難しいというように考えていらっしゃいます。

これも、本当にそうでしょうか?

特殊な業界から継続して受注を受けられるということは、御社にそれだけの技術やノウハウがあるからであり、これらを活かしきれてないだけではないのでしょうか?

中には、特殊な業界だと思いこんでいらっしゃるだけで、その気になって他の顧客への横展開ができたケースもありましたので、「ウチは特殊だから」という考え方も、一度捨ててみる、もしくは強みにかえてみるという発想の転換をされてみてはいかがでしょうか?

自社ホームページがない

さきほども触れましたが、ここ10年でインターネット環境は劇的に変化しました。

しかし、中小企業においては、まだまだホームページを作成されていない会社がたくさんあります。最近では、ホームページ作成費用はかなり下がっており、少し勉強して時間をとれば自分で作ることすらできる時代にホームページを持っていないことは、非常にもったいないことであり、受注を増やせない要因になっています。

新たに取引を開始する場合には、その会社が、どのようなホームページを持っていて、どういった事業をしているのか?社長はどのような人なのか?どんな商品を取り扱っているのか?などについて、見られるものだと考えておいた方がよいです。特に、相手が大手の会社であれば、取引口座の開設時に、新規取引先のホームページを添付して社内稟議に回すことになると思いますので、ホームページがない会社は、その時点でアウトになっている可能性すらあります。

営業用の資料が、「会社案内」しかない

初めて引き合いのあったお客さんやスポット取引のあったお客さんに2回目以降の受注を頂くために営業する際に、どのような資料を使っていますか?と伺うと、約5割くらいの会社はなにも資料を持たない、約4割の会社が会社案内を持参する、残り数パーセントの会社が過去の加工事例等をまとめた資料というのが現状です。

社長や営業担当者の相当な営業力(これは、単に話が上手というものではなく、売上を上げるためのいくつかの要素を備えていることが前提ですが、、、)があれば、影響は少ないかもしれないですが、そうでない場合に新規営業をするのであれば、会社案内ではない営業ツールが必須アイテムです。

新規営業の一番難しい点は、2回目の訪問につながらないというところです。

新規営業の際、紹介等でなんとかたどり着いた初回訪問で、こんなんできますよ、あんなんもできますよ、と「売り込み」をして、最後には先方から「また検討しておきます」という締め言葉で終わり、結局2回目につながらないということが多くないでしょうか?

次回の訪問につなげるための営業ツールを作成し、うまく使うことが、新規顧客開拓の大きなポイントです。

従業員の話に対して、まず「否定」から入っている

普段の従業員とは、どんな会話をしていますか?

私は、いろいろな会社の従業員とお話をする機会が多いのですが、その際に従業員の方からはよく、「社長には何を言ってもあまり聞いてもらえない」とか「社長はよく怒るので、怒られないように無用なことは話さない」という話を伺います。

これは受注を増やしていくためにも、良くない状況というのはお分かりでしょうか。

事業を安定させる、拡大させるために最も重要なのは「顧客」です。その顧客が何を考えているのか、どのようなニーズを持っているのか、どんな不満を抱えているのかをどれだけたくさん集めてこられるかが、今後の事業展開を決定する重要なポイントとなります。

そこで、重要となるのが普段から顧客に直接接している従業員です。

従業員は、これら重要なポイントに日頃から接しています。しかし、従業員は経営者ではないため、社長と同じ発想で顧客と接していません。社長に怒られないように、顧客からクレームを受けないように、早く仕事を終えて家に帰れるように、ということが従業員の大事なポイントになるため、受注を増やすとか、事業を拡大させるという視点で顧客をみていません。

そのため、社長が従業員から顧客情報を引き出して、社長が受注を増やすために必要な情報を集めることが重要となりますので、まずは、「社長に話を聞いてもらえない」「社長に怒られないように気を付けないといけない」という状況をできるだけ解消しなければなりません。

まずは、従業員から話を聞くときは、いろいろ言いたいことはあるかと思いますが、いったん「否定」をせずにすべて話をしてもらえる環境を作ることが重要となります。