事業計画書が失敗に終わる5つの理由

当社では、これまで数多くの会社が作成した事業計画書をみてきました。

私の感覚ですが、会社が作成する事業計画書の9割は、意味をなさないまでは言いませんが、効果が出にくい計画になっていると感じています。いわゆる、「絵にかいた餅」になってしまうケースが非常に多いと思います。

そして、せっかく時間と労力を割いて作成した事業計画書のファイルが、社長のキャビネットに保管されたまま、存在すら忘れてしまうことになってしまいます。

今回は、事業計画書がどうして「絵に描いた餅」になってしまうのか、効果の薄い事業計画書となってしまうのかについて、書いてみようと思います。

失敗1  事業計画書の目的が曖昧になっている

通常は、会社を成長させたい、とか新規事業を立ち上げ軌道に乗せたい、とか銀行からお金を借りたいとか、会社によっていろいろな動機から事業計画書を作ることになります。

このように、いろいろな動機があり、達成したい目標を実現するために事業計画書を作っていますが、このスタートの時点で方向性を間違ってしまうことが多く見受けられます。

それは、事業計画書を5年先の会社像を予想するためであったり、2年後の意思決定を行うために作るいうことです。

その結果、事業計画書を実行するため具体的な行動は、翌期から、とか半年後からということになります。

そうすると、「今日は、今週納品予定の仕事が残ってるから、とりあえず続きをしよう」となり、次の日には「新しい仕事の打ち合わせが入ってきた」とかで、せっかく作った事業計画書がどんどん後回しになって、ついには忘れ去られてしまいます

現代経営学の父といわれているピーター・ドラッカーは、事業計画書で重要なことは「不確実な明日のために今日何をなすべきか」を決めることだと言っています。

事業計画書は、将来の行動や意思決定を決めるものではなく、将来の目標のために今日何をしなければならないのかを考えることを常に意識しておくことが大切です。 

失敗2 現状の問題点がしっかり把握できていない

効果がでない事業計画書の特徴として、「こうやって行きたい」「こんなことをしたい」ということが書かれていますが、現時点でこうだから、とか過去はこうだったからという過去・現在との連続性がないという点です。

事業計画書を作成するにあたり、最も重要なポイントの一つが自社の現状を知ることがあげられます。

多くの会社において、社長は自社の現状を「知っているつもり」になっています。

例えば、売上が減少していることについての現状認識が「○○社向けの売上が下がってる」とか「○○が売れていないから」というように、結果だけをみて自社の現状を知っているつもりになっているケースが非常に多く、本当の根本的な原因まで知っている社長はほとんどいません。

根本原因がわからないと、今後の方向性や具体的な戦略を考えていくことはできません。

現状把握は、手間と時間がかかり、また見たくない部分を掘りかえすことにもなるため、避けられるケースが多いのですが、事業計画書を作成するときは、かなり重要な作業となりますので、しっかりと取り組んで頂きたいと思います。

ちなみに、当社では、事業計画書の作成をサポートする際には、この現状把握に全行程の7~8割の時間を割くことが多いです。

失敗3 自社の強みがわかっていない

 社長に、「御社の強みはなんですか?」とか、「競合会社と比べて勝っているところはどこですか?」と聞いてみると、8割くらいの社長が、

「うちには、強みなんかないよ」

「競合会社と同じようなことしかできてないよ」

というような答えが返ってきます。

多くの会社で自社の強みがわかっていないのが現状です。

自社の強みを知ることがなぜ重要かといいますと、強みのある商品や事業は、

  • 顧客を見つけやすい
  • 営業しやすい
  • 価格競争にも巻き込まれにくい

などなど、自社の強みをうまく活かすことができれば、利益につながる、しかも、大きな利益になる可能性が高いからです。

様々な角度から、自社の強みを探し、これをうまく事業計画書に反映させることが重要になります。

失敗4 根拠のない楽観主義

 事業計画書を作る際に、どうしてもやってしまいがちな落とし穴が、事業計画を売上、利益とも右肩あがりで成長していく絵姿にしてしまうということです。

売上、利益とも伸びていくことが悪いということではありません。

そこに根拠が十分にないことが問題なのです。

売上にフォーカスすると、よく計画期間において売上が毎期10%ずつ成長していたりします。

特に、既存客に対する売上高が、過去毎期減少傾向にある中で、計画期間に明確な根拠なく成長するような計画は、まったく意味がありません。

例えば、売上計画を策定する場合には、過去の売上推移を把握したうえで、過去が10%ずつ減少しているのであれば、計画上も既存売上は毎期10%減少するという前提で売上計画を策定したほうがいいケースが多いと思います。

そうすると、悲壮な将来の絵姿が見えてくるでしょうが、それが事実かもしれません。

そこから、理想的な姿とのギャップが浮き彫りになって、本来事業計画書で取り組んでいく課題が見えてきます

失敗5 社長だけで作っている

事業計画書の作成は、会社の今後の方向性を決める非常に重要な仕事であるため、当然に社長が中心になって進めるべきです。

ただ、社長が夜な夜なご自身だけで作成して、理想的な事業計画書が完成!ポイントをきっちりまとめて、社員に配布して、これからはこういう方向性で行くから頑張れ!というようなケースが結構多いのではないでしょうか。

事業計画書に書かれたいろいろな具体的な計画を方向付けるのは経営者である社長ですが、これを実際に行動に移していくのは社長だけではなく社員でもあります。

ですので、社員に動いてもらわないと、せっかくの事業計画書が絵に描いた餅になってしまいます

社員が自ら進んで動けるような事業計画書を作成するためにも、社員を巻き込んで作っていくべきです。

事業計画書を社員と一緒に作っていくと、社員が持っているいろいろなアイデア、顧客のニーズや不満など、社長が知らなかった情報が集まってくることが結構あります。社内のリソースをすべて使い切るためにも、ぜひ社員を巻き込んでみてください。