製造業が業務を見直す際のチェックポイント ~営業編その4~

製造業の営業業務の見直しの第4回で、営業業務の最終回となります。

今回は、引き合いや受注の管理と情報共有について、説明していきたいと思います。

ポイント1 見込み案件の管理

複数の営業担当者で営業している場合、それぞれの営業担当者が毎日、いろいろなお客様と会い、情報交換や商談をすることで、見込み案件を得ています。

ここで、営業責任者である社長や営業部長がプレイヤーとして、毎日、新規開拓や得意先回りをすることが多い会社によくあることとして、営業責任者も含めて各営業担当者がどのような見込み案件、引き合い案件の情報を持っているか共有できておらず、営業業務全体のかじ取りが十分にできていない、という問題点があります。

例えば、営業担当者が3名いて、それぞれが見込み案件を10件持っていたとします。

合計で30件の引き合い案件があるということです。

各営業担当者は、毎日社長や営業部長に状況を報告していましたので、各営業担当者は十分報告できていると思っていました。

でも、社長や営業部長は、本当に十分に把握できているのでしょうか?

報告内容は、次のような感じです。

  • 営業担当Aさんから案件1については「結構いけそうです」
  • 営業担当Bさんから案件2は「確率は高いと思います」
  • 営業担当Cさんから案件3について「あと一歩です」

こんな報告がばらばらと30件あったとしたら、社長や営業部長は、見込み案件すべてについて進捗や状況を正確に把握できるとは思えません。それぞれ営業担当者の「結構いけそう」や「確率は高い」や「あと一歩」という報告に主観や感覚が入っているからです。

社長や営業部長が、見込み案件の進捗を正確に把握するための管理ツールが必要となります。

それが、「見込み案件管理表」です。

見込み案件管理表には、業種によって変わってきますが、例えば以下の情報を各営業担当者が記載していきます。

  • 案件内容(得意先名、内容)
  • 受注確度(例えば、A~C分け)
  • 見込み金額
  • 営業アタックの内容

ここで、ポイントとなるのが、受注確度の定義づけです。

ただ、単に確率が高い案件がAとかすると、各営業担当者の感覚でばらつきが生じてしまいます。

そのため、誰が判断しても同じようになる定義づけが必要となります。

これも、会社ごとに違ってきますが、例えば以下のような定義が考えられます。

A:見積書提出先

B:具体的な案件仕様の打ち合わせ済み

C:まだ具体的な話に至っていない

このような形で、「見込み案件管理表」を作成することで、受注には至っていないが、近い将来の売上になる可能性がある案件が全社でどれくらいあるのかが、パッとみてわかるようになります。

しかも、タイムリーに把握でき、営業担当者の動きも見えやすくなります。

また、結構見落としがちなんですが、この「見込み案件管理表」を経理担当者、資金繰り担当者に共有することで、数か月先の資金繰り予測をより正確に出すことができるようになります。

こちらも経営の安定化には、非常に重要な要素となります。

多少の手間はかかりますが、「見込み案件管理表」は、営業や資金繰りのために非常に重要な情報を提供してくれるものですので、かけた手間以上の効果は得られますので、ぜひ一度ご検討ください。

ポイント2 受注残の管理

もう一つの管理が、受注残の管理です。

ポイント1の見込み案件の管理は、受注前の管理であったのに対し、ポイント2は受注後の管理です。

受注残については、エクセルなどで管理されている会社もたくさんあると思います。

しかし、私たちがいろいろな会社と受注管理の仕組みを検討してきた結果、せっかくの受注残情報が十分に使えていないのではないかと思うことがよくあります。

まず、受注残の情報が工程管理に十分に活かせていないということです。

せっかく受注残のデータを作成していても、納期情報が入っていなければ、工程管理には活かせません。

また、納期情報が入った受注残データがあっても、製造担当者に十分に伝わっていないことが少なくありません。

特に、短納期の受注が多く入ってくるようなメーカーでしたら、毎日の受注残データに基づいた短いスパンの工程管理が非常に重要になってくるのですが、これができていなくて、納期遅れが多発している会社もよくあります。

工程管理については、また機会を改めて説明しますが、上記のように受注残データを十分活かせていないケースが非常に多く、もったいないな、と感じています。

ポイント3 ポイントを絞り込んだ営業会

営業会議を実施されている会社は多いです。

よくあるのが、毎週月曜日の朝など、毎週定期的に開催するケースです。

社長と営業部長、営業担当者に加えて工場長などが参加して議論するなど、形はいろいろあります。

あなたの会社では、いかがでしょうか?

実のある会議になっていますでしょうか?

私もいろいろな会社の営業会議に参加します。

よくあるのが、営業担当者が事前に資料を準備して、先週の営業の報告をして、それに対して、社長が檄を飛ばす。

話が横道にそれたり、論点がぼやけたりしながら、結局2,3時間かかってしまうが、イマいちピンと来ないまま、頑張らなあかんということだけで終わってしまうという営業会議です。

なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか?

それは、営業会議の目的が明確になっていないからです。

  • 社長や営業部長が、営業担当者から何の情報を知りたいのか?
  • 社長や営業部長が、営業担当者に何の指示をしたいのか?
  • 営業担当者間で、共有しておくべき情報は何なのか?

短時間で効果のある会議にするためには、このあたりを明確にしておく必要があります。

「明確に」というのも、あいまいな表現ですよね。

ですので、「明確に」ではなく、目的を具体的な2~3つに絞ると言った方がいいかもしれないです。

例えば、営業会議の目的を

  • 今、顧客が何の課題や問題点、困ったことを抱えているのか?
  • 顧客の課題に対して、解決策は何か?

の2点に絞り込むとします。

そうすると、営業担当者は日々の営業活動で少なくとも「顧客の課題」は把握しないといけないということが明確になり、顧客への問いかけや行動がしやすくなります。

社長や営業部長も、知りたい情報である「顧客の課題」が、毎週の営業会議で具体的に吸い上げられるため、営業戦略を検討しやすくなるとともに、営業担当者への指示も具体的にできるようになります。

会社全体の営業戦略を組み立てるために、必要な情報を絞り込むことで、社長、営業部長、営業担当者がこれに集中できるようになると、営業の仕組みが回りやすくなるのです。

このためにも、まずは絞り込んだ営業会議を行うことが重要となります。