スモールビジネスのための雇用契約書の雛形と作成上のポイント

従業員を採用が決まったら、新たなメンバーとなる従業員に労働条件を説明し、お互いが納得する雇用契約を交わすことになります。

でも、従業員の採用に不慣れなスモールビジネスにとって、大事だけど見落としがちなのが雇用契約書です。

今回は、スモールビジネスが初めて従業員を採用する際に気をつけるべき雇用契約書のポイントを解説します。

なお、この記事は「ハローワークで正社員の採用を失敗しないための7つのステップ」のStep6 入社手続きを行うに関連する記事です。社員採用の全体フローは、こちらを参考にしてください。

関連記事:ハローワークで正社員の採用を失敗しないための7つのステップ

雇用契約書が必要となる理由

トラブル防止

雇用契約は口頭でも成立します。

しかし、口頭での契約は言った言わないになりやすく、労働条件は、入社後に「こんな条件じゃなかった」というようなトラブルになりやすいです。

したがって、無用なトラブルを防ぐために、書面での雇用契約書が必要となります。

労働条件の明示を立証

雇用契約の作成は必須ではないですが、労働基準法で定める労働条件の明示は必要になります。

雇用契約書を作成して労働条件を示せば、わかりやすく説明がしやすい上に、きっちり説明したという根拠にもなります。

(労働条件を明示しなかった場合は30万円の罰金に処せられます。)

雇用契約書の作り方

まずは、雇用契約書の雛形を用意します。

冒頭記載

甲には雇用しようとしている会社名もしくは個人事業主の氏名を記入してください。

雇用期間

正社員は期間の定めがないため、「期間の定めなし」に○をつけます。

契約社員は期間の定めがあるため、「期間の定めあり」に○をつけた上で、雇用期間を具体的に記載します。

1回の契約期間の上限は、原則として3年です。

詳細はこちらの記事を参考にしてください。

スモールビジネスオーナーが知っておくべき契約社員の特徴とポイント

 正社員 契約社員 
 期間の定め期間の定めなしに○期間の定めありに○
期間の書き方  ー平成○年○月○日〜平成○年○月○日 

就業場所

採用後に働く予定の場所を記入してください。

業務内容

採用後に予定している業務内容を記入してください。

始業、終業の時刻、休憩時間、所定時間外労働等

始業、終業の時刻

従業員の勤務する時間(所定労働時間)について、開始と終了の時刻を明確に記入します。

原則として、1日の法定労働時間は8時間を超えないように、1週間の法定労働時間は40時間を超えないようにしてください。

休憩時間

所定労働時間を労働時間によって休憩時間が決められています。

1日の所定労働時間  必要な休憩時間
6時間を超えて8時間以内 45分 
 8時間を超える場合1時間 

所定時間外労働

残業や休日労働がある場合は、所定時間外労働または休日労働の有無を「有」としてください。

休日

休日は、少なくても毎週1日もしくは4週間で4日以上を付与する必要があります。

その上で、特定の曜日を休日に定めている場合には、「定例日:毎週 曜日」に該当する曜日を記入してください。また、その他に決まった休日(祝祭日、年末年始休暇、夏季休暇など)を必要に応じて記入してください。

休暇

年次有給休暇

年次有給休暇とは、6か月勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した従業員が取得できる賃金が減額されない休暇のことです。

原則として1日単位で付与されますが、労使が合意すれば半日や時間単位での付与も可能です。

年次有給休暇の取得日数(週の所定労働時間が30時間以上の場合)

勤続期間付与される有給休暇日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上

20日

賃金

基本給

具体的な月額の基本給を記入します。

諸手当の額および計算方法

手当を支給する場合には、手当の名称と金額、具体的な計算方法などを記入します。

所定時間外、休日等に対して支払う割増賃金率

残業などの時間外労働については、割増賃金率が法律で規定されています。

時間外労働は時給単価の25%以上、休日労働は35%以上、深夜労働(当日午後10時から翌日午前5時まで)は25%以上となっています。

賃金締切日と賃金支払日

賃金の締切日は1ヶ月の給与計算の基準となる期間がいつからいつまでかということを決めるための日になります。例えば、「毎月20日締め」ということであれば、給与の計算は前月21日から当月20日までとなります。

また、賃金支払日とは、賃金締切日で計算した給与を支払う日です。例えば、「当月末払い」ということであれば、計算した給与を当月末に従業員に支払うということです。

昇給・賞与・退職金

昇給や賞与、退職金の支給があるかどうかを記入します。

なお、昇給や賞与が業績等によって支給されない可能背がある場合は、その旨を記入します。

退職に関する事項

定年制

定年を設ける場合には、定年制の「有」に○をつけ、定年の年齢を記入します。なお、定年の年齢は60歳を下回ることはできませんので注意が必要です。

また、定年の年齢を65歳未満としている場合は、「高年齢者雇用確保措置」が必要になり、希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度を導入しなければなりません。

自己都合退職、解雇

こちらについては、トラブルを防ぐためにも就業規則を作成し、就業規則において規定すべきものとなります。

期間の定めのある雇用の場合の更新の有無

契約社員の場合は、この項目に契約更新に関する取り決めを行います。

詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

スモールビジネスオーナーが知っておくべき契約社員の特徴とポイント

その他

社会保険の加入状況や雇用保険の適用を記入します。

記名・捺印

雇用契約書の最後に雇用者と従業員の記名・捺印を行います。