資金繰り表の作り方(基礎編)

経営をしていく上で、切っても切り離せないのが資金繰りの管理です。資金繰りを管理するためにポイントとなるのが資金繰り表の作成となります。

資金繰り表の作り方がわからないという声をよく聞きますので、今回は資金繰り表の作成方法を書いてみたいと思います。

今回ご紹介する資金繰り表の作り方は、はじめは手間がかかるかもしれないですが、慣れれば30分もかからずに作れるようになると思います。

なによりも、銀行へのウケがかなりいい資金繰り表が作れるようになりますので、ぜひマスターしてください。

資金繰り表の作り方

それでは、早速、資金繰り表を作っていきましょう。

Step1 用意するもの

資金繰り表を作るために最低限必要となるのは、以下の2つです。

  • エクセルのインストールされたパソコン
  • あなたの会社の月次試算表

とりあえずは、これだけで結構です。

Step2 エクセルシートの準備

まずは、エクセルに月次試算表を入力していきます。

エクセルにシートを3つ用意し、「資金繰り表」、「BS」、「PL」と名前を付けます。

(図1)

(図1)資金繰り表の作り方

Step3 月次試算表の入力

次に、用意したエクセルシートのうち、「BS」シートと「PL」シートに月次試算表を入力していきます。

まずは、「PL」シートに損益情報を入力します。

図2のように、B列に月次試算表の勘定科目をC列に当月(例ではH26/9月)の数値を入力します。ここで、できるだけ細かく、できれば月次試算表をそのまま入力した方が後々便利になります。

(図2)

(図2)資金繰り表の作り方

 

次に、 「BS」シートに貸借対照表の情報を入力します。B列に月次試算表の勘定科目を、C列に前月(例ではH26/8月)、D列に当月(例ではH26/9月)の数値を入力します。こちらも、できるだけ細かく、できれば月次試算表をそのまま入力するのがベターです。

(図3)

(図3)資金繰り表の作り方

 

 

ここで、資金繰り表を作るの結構大変だな、と思われた方は、こちらも参考になります。

クラウド会計を使って資金繰りの不安から解放される方法

 

Step4 資金繰り表のフォーマットを作成

続いて、資金繰り表のフォーマットを作成します。

 

ここは、業種によって、また会社によって違うと思われますが、一般的な形を書きますので、これを参考にして、あなたの会社用にカスタマイズしてみてください。

 

まず、図4のようにB列に入金、出金別の主な項目を書いていきます。

(図4)

(図4-1)資金繰り表の作り方

 

上から大項目として、

①月初現預金残高

②経常収支

③財務収支

④月中現預金増減

⑤月末現預金残高

を入力していきます。

ここで、少し注意点をあげておきますと、

②経常収支

経常収支の項目については、経常収入と経常支出に分けます。

そのうえで、経常収入として、売上収入とその他の収入に分けます。

また、経常支出として、仕入支出を記載したうえで、他の経費(人件費、外注費、経費など)のうち、金額の大きいものを選んで入力します。図4では、「PL」シートから人件費、支払手数料、水道光熱費、租税公課を選んでいます。

③財務収支

財務収支は、借入収入と借入返済に分けます。

ここで、借入収入と借入返済の内訳としては、借入先別に入力すると、細かい管理ができるようになります。

Step5  資金繰り表の計算ロジックの作成

引き続き、資金繰り表を作り込んでいきましょう。

 

①月初現預金残高と②月末現預金残高

まず、①月初現預金残高と⑤月末現預金残高からです(図5-1参照)

①月初現預金残高は、前月の現預金残高(H26/8月の現預金残高である「BS」シートのC4セルからリンクを飛ばす)になるようにしてください。

また、同様に⑤月末現預金残高は、当月の現預金残高(H26/9月の現預金残高である「BS」シートのD4セルからリンクを飛ばす)になるようにしてください。

(図5-1)

(図5-1)資金繰り表の作り方

 

④月中現預金増減

④月中現預金増減は、図5-1のC28セルに月末現預金残高-月初現預金残高(=C29-C3)を入力することで、月中の現預金残高を計算します。

 

②経常収入

まず、売上収入です。

売上収入とは、本業である商品やサービスの販売から得られる現金、預金の収入であり、損益計算書(PL)の売上高と貸借対照表(BS)の売掛金の増減から算定できます。

算式としては

売上収入=当月の売上高(PL)+前月末の売掛金-当月末の売掛金

となります。

したがって、売上収入のセルには、PL!C3+BS!C5-BS!D5と入力してください。

また、その他の収入のセルには、売上以外の収入(通常は、PLシートの営業外収益の各項目)を入力してください。

(図5-2)

 

次に仕入支出です。

仕入支出は、本業として販売する商品の仕入や、製品を製造する際の原材料の仕入等に係る仕入先への支払い額です。

仕入支出も売上収入と同じように、損益計算書(PL)の仕入高と貸借対照表(BS)の買掛金の増減から算定できます。算式としては

仕入支出=-(当月の仕入高(PL)+前月末の買掛金-当月末の買掛金)

となります。仕入支出は現金預金のマイナスとなるため、上記式はマイナスになっています。

したがって、仕入支出のセルには、=(PL!C4+BS!C25-BS!D25)*-1と入力してください。

(図5-3)

(図5-3)資金繰り表の作り方

また、仕入支出の下(図5-4の9行目以下)には、人件費や経費項目を入力します。

 

これらの項目については、経理処理の方法によって若干入力方法が変わってきますので、経理担当者や顧問税理士さんに確認しながら進めて頂ければと思います。

毎月の人件費や経費を支払時に費用処理している場合(現金主義)

この場合は、PLシートの当月(H26/9月)の人件費や経費計上額を資金繰り表に反映させることになるため、PLシートのCの列の各項目からリンクを飛ばしてください。

 

毎月の人件費や経費を発生時に費用・未払処理している場合(発生主義)

この場合、それぞれの項目ごとに支払サイトを確認する必要があります。よくあるのは当月末締めの翌月払いですが、この場合は前月(H26/8月)の経費計上額を当月の資金繰り表に反映させる必要があります(当月締めの当月払いであれば、当月(H26/9月)の経費計上額を資金繰り表に反映させます)。

(図5-4)

(図5-4)資金繰り表の作り方

 

③財務収支

財務収支には、当月の借入金による収入や返済による支払額を記載します。

ここで注意して頂きたいのは、可能な限り、銀行への支払額のうち、借入元本部分と利息部分を分けて入力して頂きたいという点です。

ここを分けておいた方が、後々管理がしやすくなりますので、ひと手間かかりますがおすすめです。

もう一点注意点ですが、財務収支の入力金額は、経理処理上の金額(伝票など)と一致させておいてください。

そうしないと、入力額が試算表とずれてしまうため、資金繰り表の精度が落ちてしまいます。

(図5-5)

(図5-5)資金繰り表の作り方

Step6 最終チェック

ここまで入力すると、基本的な事項はすべて入力できています。

ここからチェックをかけていくことになりますが、ポイントは経常収支の支払の中の「その他」が小さくなれば、概ねOKという点です(図6参照)。

(図6)

(図6)資金繰り表の作り方

 

この「その他」が大きくなっている場合には、他に調整すべき項目があるということですので、再検討が必要となります。調整項目としては、以下のようなものが考えられます。

 項目 調整方法
 設備、車両など固定資産の取得 取得額を当月の支払項目に含めてください

 仮払金、仮受金、前払費用、未払金など、売掛金、買掛金以外の貸借対照表項目の増減

 前月からの増減額を資金繰り表で調整してください。(資産項目の増加、負債項目の減少は資金のマイナス調整、資産項目の減少、負債項目の増加は資金のプラス調整)
貸付の実行、回収 貸付の実行を資金のマイナス、貸付の回収を資金のプラスとして調整してください

資金繰り表の完成です

これで資金繰り表は完成です。

資金繰り表は、自社の作成方法が固まるまでは試行錯誤を繰り返す必要がありますが、ポイントを押さえたうえで、作成方法がルール化できれば、簡単に作成することが可能となります。

資金の流れをきっちり管理するために、ぜひトライしてみてください。

しかし、慣れるまではなかなかうまくお金の管理ができないかもしれません。しかし、最近は便利な会計ソフトができており、特にクラウド会計は現金や預金の管理が従来の会計ソフトに比べると、かなり楽になります。

当社では、スモールビジネス向けにクラウド会計を駆使した経理・労務のサポートを行なっていますので、もし資金繰り管理を効率的に行う方法などでよくわからないことがあれば、一度こちらもご覧ください。